採光に関する法律のお話です。
建物の間取りを決定するために大きな問題となります。
居室には有効な窓がなくてはならない
住宅の居室とは
「居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室」のことを言います(建築基準法第2条第4号)
つまりリビングや寝室、キッチンなどでトイレ、洗面、玄関、風呂などは居室ではありません。(家事室は居室に含まれるかもしれません)
居室には採光上有効な開口部が必要
ただ窓があればいいわけではありません。
隣地境界線や窓中心から窓上の建物のてっぺんまでの高さによってその窓が採光上有効な開口かどうかが決まります。
つまりその窓がいかに日当たりが良かろうと目の前に何の建物がなくても、場合によっては「採光上有効な開口」には該当しないケースがあるということです。
そして採光上有効な開口がなくてはその部屋は居室として使えません。
中には納戸として申請して寝室として使うケースもありますが、役所や担当者によっては「納戸にはエアコンもコンセントもいらないよね?」とねちねち攻めてくる場合もあります。
2階建てなら問題になるのは1階です。
採光上有効な開口の判断
居室に対する採光上有効な開口部の面積(有効採光面積)
→住宅の場合、床面積の1/7以上
有効採光面積 = W×A ≧ 居室の床面積×1/7
(W:窓の面積 A:採光補正係数)
A = d/h × α-β ※但し、A≦3(天窓の場合は、A×3)
d:窓の直上にある建築物の各部分から隣地境界線等までの水平距離
h:窓の中心から直上の建築物の各部分までの垂直距離
α:用途地域が住居系地域 なら6
β:用途地域が住居系地域 なら1.4
Aは1以上でないと採光上有効な開口部にはなりません。
その窓が道や公園、川などに面していたりふすまや縁側があったりすると緩和措置がとられます。詳しくは以下を参考
我が家の採光問題
当初一階は以下の計画でした。
建物はなるべくシンプルなほうが安く、構造的にも安定するから四角です。
しかし赤矢印の窓が採光補正係数A<1となり採光上有効な開口とみなされませんでした。
こうなるととれる対策は4つです
- 部屋を狭くする(採光補正係数Aが1未満の場合効果はない)
- 窓を高くする(採光補正係数Aが1未満の場合効果はない)
- 建物を境界線から離す
- 建物の上階をずらす
しかし敷地形状から言って建物の位置を変えることも上階をずらすことも難しかったのです。
我が家の解決策
建物形状をすこし出っ張らせることで解決しました。
大きな窓はそのままで出っ張らせた箇所に窓を付けることで、細長い窓でも境界線との距離が長ければ採光上有効な開口になるのです。
駐車場側の部屋は駐車場側に窓を設けることで解決です。
1階がリビングの場合は道に面して掃き出し窓があるのであまり有効採光を気にしなくてもいいのですが、1階が寝室だとこの問題が良くあります。
設計の最初の段階なら解決策があるので境界線から近いところにしか窓が取れない場合は確認してみてください。