夫がずっと買いたかった念願の車を買いました。
もうその機構は新しく作ることができないとのことで、中古車ではありますが夫はホクホクです。
現在我が家にはカーポートがない、大事な車を野ざらしで置きたくない、でもいちいちカバーを付けるのは面倒!とのことでカーポートやガレージを建てることにしました。
いくら建てたいからと言っても、好きなだけ建てられるわけではありません。
色々と規制があるのですが、中には知識に乏しい業者が勝手に建ててしまうことも多々あります。
というかそれがかな~り多いです、正直違法にカーポートを建てたところで取り壊せ!とまで言われるケースは稀かもしれませんが、今回は「厳密に言うとこんな規制があるよ」ということをご紹介します。
カーポートを建てるときにまず確認すること!
まずはご自宅にある確認申請書等を御覧ください、ないという方は役所の建築指導課などに行けば建築概要書、または記載事項証明で調べられます。
こんなめんどくさいこと調べたくもないって方は読み飛ばして設計事務所に相談してください。
容積率・建ぺい率をチェック
その敷地の建ぺい率(建築面積/敷地面積)と容積率(延べ床面積/敷地面積)に余裕があるかを確認します。
確認申請書のある方は第三面のここをご覧ください。
※書式は変更となっていることがあります。
以下の要件を満たすカーポートは建築面積の緩和を受けられます。
引用元:鉄骨造ガレージはカーポートと何が違う? メリット・デメリットは? ガレージにまつわるさまざまな疑問をズバリ解説 | 住まいのお役立ち記事 (イラスト/杉崎アチャ)
一般的に一番小さい1台分のカーポートは2.5m×5.0mの場合、建築面積は0.5×3.0=1.5㎡です。なので1.5/敷地面積(%)が増える建ぺい率になります。
中くらいのは3.0m×6.0mなので1.0×4.0=4.0㎡です。なので4.0/敷地面積(%)が増える建ぺい率になります。
この増える分の建ぺい率と申請書に書いてある建ぺい率を足しても赤四角で囲った部分の建ぺい率を超えなければOKです。
次に延べ床面積、カーポートの屋根の水平投影面積で算定すれば間違いないです。
2.5m×5.0mの場合12.5㎡です。自治体と構造によってはもうちょっと少なくなることもあります。
ただし容積率にはその敷地内にある建物すべての延べ床面積の1/5を参入しないという緩和があります。
上の確認申請書類の赤丸の部分ですね。
我が家はすでにインナーガレージが9.31㎡分ありますので、12.5㎡のカーポートを建てるときは9.31+12.5=21.81㎡車庫になりますので、すべて1/5で収まるため容積率の増加はないということになります。
※緩和条件は自治体によって取り扱いが異なることがあります、詳しくは該当地域の建築基準条例をご確認ください。
確認申請がいるかどうか
確認申請書の第三面、↓画像の「都市計画区域及び準都市計画区域外」という項目にチェックが有れば、200㎡以下のカーポートの確認申請は不要です。
ただし準景観地域、都道府県知事が関係市町村の意見を聴いて指定する区域の場合は都市計画など区域外であっても確認申請が必要です。
防火地域・準防火地域外で10㎡以下であれば確認申請は不要ですが、カーポートの場合ほぼほぼ10㎡を超えます。
ちなみにカーポートなら建築士でなくとも確認申請を出すことは可能ですが、建築士による設計よりも必要な図書が増える上にそれを揃えたり知識を得る労力と時間を考えるとプロに任せたほうが安上がりかもしれません。
素人が見逃す落とし穴
ここから先はかなりマニアック、自分で確認できると思っている方もこれを読めば建築士に任せようと考えを改めると思います。
あなたが任せようとしている業者さんはここまで確認しているでしょうか?
新築後に増築していませんか?
家が建ってから追加でなにか建てていませんか?
・サイクルポート
・カーポート
・人が入れるような大型の倉庫・小屋
その場合はそれらも含めて検討が必要です、もし確認申請の段階でそれらが問題になる場合は一度撤去を求められることがあります。
確認申請の図面をみて、そこから変わったことがないかチェックしましょう。
外壁後退の対象ではありませんか?
外壁後退とは建築基準法で第1種低層住居専用地域・第2種低層住居専用地域・田園住居地域において、建物の外壁と敷地境界線までの距離を1.5mまたは1mに制限することをいいます。(当該地域でも制限がない場合もあります)
地区計画や建築協定、風致地区などの指定によって後退距離を定められていることもあります。
「◯◯市 外壁後退」で検索すると自宅が対象かどうかわかります。
ただ対象であったとしても緩和する条件があります。
話すと長くなるのでこちらのサイトがわかりやすいです。
似たようなもので「2項道路のセットバック」があります、前面道路の幅が4m未満の場合道路中心線から2mの範囲は道路扱いになるから建てちゃだめ、という法律です。
これに該当する場合は柱も庇もセットバックの境界線を飛び出してはいけません。
隣地から50cm以内に建てていませんか?
民法では隣の敷地から50cm離して建てなければなりません。(民法234条1項)
ただし「防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のもの(建築基準法63条)」、「異なる慣習がある地域(民法236条)」については、その外壁を隣地境界線に接して設けることができます。
上記以外の場合でもお隣さんの許可があれば、隣地境界線から50cm以内にも建てられます。そうしたい場合は事情を話して念書なり同意書なりにサインをしてもらいましょう。
高さ制限のセットバックを受けていませんか?
前面道路の幅によって建物の高さに制限があります。
ただし道路境界線から建物をセットバックさせることにより緩和を受けることができます。
もし既存建物がこのセットバックを適用している場合、セットバックの部分にカーポートを建てるとその緩和を受けることができなくなり、既存建物のほうが違法となります。
ご自宅がセットバックを適用しているかどうかは確認申請図書の「配置図」または「立面図」に書いてある道路斜線という言葉を探して判断できます。
居室の採光を妨げませんか?
住宅の居室には採光用の窓を設置するよう建築基準法で定められています。
カーポートを建てる目の前に居室(普段人がいるようなリビング、寝室など)の窓がある場合、その居室の採光が取れなくなり法律違反になります。
下の画像の採光補正係数の小さい方が採用されます。
ただ窓のほうがカーポートの屋根より高い場合は問題ないです。
準防火地域内の準耐火建築物の建ぺい率緩和を適用していませんか?
準防火地域内で準耐火建築物の場合建ぺい率を10%緩和できます。
建物の方でその緩和を受けている場合、同じ敷地内にカーポートを建ててしまうと緩和が受けられなくなり、敷地全体で建ぺい率違反になります。
それでも車庫を建てたいとなると入口を防火設備(シャッターなど)にできるような準耐火建築物のガレージとする必要があります。
防火地域内・準防火地域内にありませんか?
確認申請書第三面の4.防火地域でわかります。
もしくは「〇〇市 用途地域」または「〇〇市 防火地域」で検索すると自宅が該当するかわかります。
消防同意が必要になる
建築士以外は聞き慣れないかもしれませんが、事前に消防に同意を得て審査機関にOKだよと言ってもらうのが消防同意です、確認申請を通す前に必要になります。
使える屋根に制限がかかる
メーカー品であればそれぞれのHPで使える使えない素材を表示しています。
あと戸建住宅だとまずないと思いますが、既存建物とカーポートの床面積が500㎡を超える場合は隣棟間の延焼ラインがでてきます。
いかがでしたでしょうか?地域によってはさらなる規制があることもあります。
正直言ってこんなに制限があるんだ!と思った方も多いのではないでしょうか?
確認申請の申請代行費用はカーポートの場合だいたい10-30万円、高いと思っていた方もいるかも知れませんが、実はこんなに色々チェックしているんですね。
次回からは実際に我が家にカーポートを建てようと計画したことについて記事に書きます。結論から言うとカーポートは建てませんでした。
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