前回までのまとめ
・一定の規模のカーポートや物置を建てるのに申請が必要
・防火・準防火地域ではすべて申請が必要
・申請がいらなくても法律通りに建てるのは素人には難しい
・小さい物置なら大丈夫
DIYで陥る違法行為とは
今までの話で新たにカーポートや物置を作るのには注意が必要なのはお判りいただけたと思います。
じゃあ家の中なら大丈夫だろう!かと思えばそうではありません。
内装制限
建築基準法には壁や天井の仕上げに制限がある場合があります。
普通の1戸建て住宅にはほとんど当てはまらないのですが、
注意したいのがキッチンとガレージです。
上の表は内装制限の一覧表です、赤く囲ったところがポイントです。
キッチン
8.調理室等 に該当します。
最上階以外のキッチンは壁、天井ともに準不燃材以上の材料でなくてはいけません。
※コンロ周りを特定不燃材料にすればコンロ周辺以外は難燃材料等でOKですが木造だと制約があります、詳しくは担当の設計さんまで
最上階以外のキッチンなので、2階建ての2階部分にあるキッチンは除外されます。
不燃材かどうかは使用する材料によって変わりますが、クロスであればカタログに記載されています。
ほとんどのケースはキッチンパネルやタイルを使用するかと思います。
下地材も含めて防火認定を受けていることがあるので、仕上げ材の使用をよく確認してみましょう。
合板の上に直接キッチンパネルやタイルなどを貼ると壁の中の合板が炭化し発火することがあります、これを「低温着火」といいます。
気になる人はググってください。
コンロ周りの壁をDIYするときはタイルなどの下地は軽カル板などを採用しましょう。
結論:キッチン内装は準不燃材にし、下地に合板はダメ。
ガスコンロ周りにはなるべく木製棚なども置かないで。
ガレージ
4.自動車車庫 に該当します。
ただこの点に関しては各地域で意見が分かれる部分でもあり、中には「ここでいう自動車車庫は単独、もしくはもっと独立した車庫をさし、住宅内のガレージは住宅の付属であるため内装制限は該当しない」という見方をする方もいます。
詳細はお住いの建築指導課へご確認ください。
まあ備えあれば憂いなし、ガソリンが中に入っている車を保管する場所ですから、燃えにくくしたほうがいいのは確かです。
壁、天井ともに準不燃材以上の材料でなくてはいけません。
となると、何の処理もしていない木材は使用できません。
「ガレージ DIY」で検索するとかっこいいガレージがいっぱい出てきますよね、OSB版が貼ってあったり、仕上げを貼らず木の柱がむき出しだったり…。
それほとんど違法だかんな!!!
ほとんどといったのは不燃認定を受けている木材もあるからです。
これからガレージを木材でDIYしようとする方はご一考ください。
市販の木製ガレージはありますが、倉庫と偽ったり仕上げはご自身で行ってくださいと注意書きが書いてあったりします。
ちなみにうちのガレージは外壁材のRC調サイディング(準不燃材)です。
結論:ガレージ内装は準不燃材以上で、梁に関しては緩和規定あり。
光と風と高さ
居室の採光
建築基準法では住宅の居室には床面積の1/7以上の採光を確保しなければならないと書かれています。
居室とは普段人がいる部屋です。トイレ、浴室、納戸、玄関、廊下などは含まれません。
ただ窓があればいいわけではなく、敷地境界線と建物高さが関わってきます。
以前の記事で詳しく書きましたのでそちらを参照してください。
まあ、これは新築時に検討しているので今ある建物は問題ありません。
問題は採光用の窓をつぶすことです。
窓にベニヤを打ち付けたり、窓前に壁を設けたりすると居室としては使用できません。
24時間換気
平成15年からシックハウス対策のために居室には24時間換気が義務付けられています。
いわゆるこれです。
ダサいので現状こうしてます。
これも塞いでしまうと違法なので風は通るように浮かせています。
居室の天井高さ
居室の平均天井高さは2.1m以上必要です。
上げ床を作ったり天井を下げたりして天井高さが2.1m以下となると居室としては使えません。
でも結論は・・・
増築制限は地域環境のため、内装制限は火災のため、でも採光や換気や天井高さは住む人の住環境のためなので自己責任でやれば?と思いますね。
相談されたら違法ですからやめてくださいとしか言えませんが。
もしDIYで上記のことをしていて、家族の体調が悪くなったら換気や採光のこと思い出してください。